火曜日の晩、東大駒場図書館で調べ物をした帰りに、神泉のクンバ ドゥ ファラフェル(Kuumba du Falafel)というファラフェルのお店で夕食を食べてきた。
(ファラフェルというのは中東の料理で、ひよこ豆のペーストにスパイスを加え団子状にして揚げたコロッケのような揚げ物のこと。また、それを生野菜と一緒に中に挟んだピタサンドのこともファラフェルというらしい)
私が初めてファラフェルを口にしたのは、数年前の夏、パリに短期留学していた時のことだった。
マレ地区のユダヤ人街の行列のできる店で買ったファラフェルのピタサンドは、熱々のスパイシーなファラフェルがゴロゴロ入っていて美味しかったけれど、一玉分まるまる入っているんじゃないかというぐらい、中にたっっっぷりと挟み込まれた刻み紫キャベツの海の中で歯が溺れてしまいそうなほど、恐ろしくボリューミーだった。
食べ終えた時にものすごい達成感を感じたのを今でもよく覚えている。
日本にも美味しいファラフェルを食べられる店があると聞き、近くまで行く用事があったら絶対に立ち寄ろうと思っていた。念願の初訪問。
クンバ ドゥ ファラフェルは松濤二丁目の交差点から松見坂方面に山手通りを少し進んだところにある。ガラス張りの外装から覗く、まるでデザイン事務所かバーかなにかのようなスタイリッシュな店内…中東料理のお店らしい感じは微塵もしないし、看板らしきものも見当たらない。
しかし、地図によるとどうやらここに間違いない。
少し躊躇ったが意を決してお店の中に入ると、ふんわりとスパイスのいい香りが漂ってくる。
よかった、どうやらここで合っているみたいだ。
「いらっしゃい」と出迎えてくれた店員さんは、いかにもおしゃれなカフェの店員さんといった雰囲気の若い日本人男性。レジ下のショーケースの中には、「水のドンペリ」と名高いシャテルドンの瓶。
ますます「ファラフェルの店」のイメージから遠ざかっていく…笑
ますます「ファラフェルの店」のイメージから遠ざかっていく…笑
このお店のメニューは全てヴィーガン(完全植物性)ということで、肉や魚を使ったものは一切無い。
看板メニューであるファラフェルサンドは、ハーフサイズ(880円)とレギュラーサイズ(1200円)と自分で具材を挟んで食べるタイプのプレート(1580円)があり、今回はプレートを注文。
ドリンクメニューにはパレスチナやチュニジアのビールなど珍しいアルコール類もあったけれど、今夜は課題をやらなくてはならないので泣く泣く断念。代わりに冷たいミントティー(500円)を頼む。
お茶と料理を待つ間、お冷(水道水そのままでちょっと残念)を飲みながらお店の中を見回す。
先ほどから再三述べているように、このお店の内装には不思議なほどエスニック料理店らしい雰囲気がない。
カウンターテーブルの上に並んだ、干したデーツやクルミのなどの詰まった大きなガラスポットがささやかな異国情緒を添えている…と言えなくもないが、あったとしてもそれぐらいじゃないだろうか。
先ほどから再三述べているように、このお店の内装には不思議なほどエスニック料理店らしい雰囲気がない。
カウンターテーブルの上に並んだ、干したデーツやクルミのなどの詰まった大きなガラスポットがささやかな異国情緒を添えている…と言えなくもないが、あったとしてもそれぐらいじゃないだろうか。
もっと言うと、この店の座席の配置も不思議だ。
そこそこスペースはあるのに、店内には7人ほどが座れるへの字型のカウンターが置いてあるだけ(座る方としてはのびのびできて快適だけど)。あえて席数は少なくしているのだろうか。
そこそこスペースはあるのに、店内には7人ほどが座れるへの字型のカウンターが置いてあるだけ(座る方としてはのびのびできて快適だけど)。あえて席数は少なくしているのだろうか。
看板も出していないし、店内に2人いる店員さんはお世辞にも愛想がいいとは言えないし、でもお店の内装やメニューには一つ一つ相当なこだわりが伺えるし……
なんだろう、この自由さというか、「好きなものを好きなように売っているだけ」感。
素敵じゃないか。
ほどなくしてミントティーが出てきた。
注文したのは間違いなくミントティーのはずだけど、グラスに顔を近付けると、まず鼻腔に飛び込んでくるのは強烈なシナモンの香り。ミントの香りは打ち消されてしまっているのか、殆ど感じられない。
味もやっぱりシナモンが勝ってしまっている。甘さはほどほどで飲みやすい(モロッコティーのようなあまあいミントティーを想像していると、若干肩透かしを喰らう 笑)。
シナモンフレーバーのお茶としては美味しいので、途中からはこれはシナモンティーだと思って飲んでいた。
オーダーから20分程経って、ファラフェルプレートが運ばれてきた。
森だ。
テーブルの上に、突如カラフルな森が出現した。
ピタパンに挟み込むほかの具材と一緒にお皿の上にこんもりと盛り付けられた、色とりどりの美しい葉物野菜たち。それにしても驚きの野菜量だ。他の具材が葉っぱの下に隠れてしまっている。
…さて、圧倒されている場合ではない。サンドイッチを作らなければ。
山のような葉物野菜を、森の中から発掘したバラエティ豊かな具材とともに無我夢中でピタパンに挟み込んでいく。ピタは二枚ついてくるので、一つのプレートから二つのサンドイッチができる。
ピタのキャパシティが存外大きかったのをいいことに、挟んでも挟んでも減らない葉っぱ群をこれでもかと言わんばかりに押し込む。
実際に口に運ぶ時のことを全く考えずに作り上げたマイファラフェルは、案の定、顎を破壊しかねない凶悪な代物になった。
作りようによっては美しい花束のようなサンドにもなり得ただろうに…実に残念な仕上がりになってしまった。
店内に他のお客さんがいない(店員さんたちも基本的に厨房にいる)のをいいことに、レタスが目や鼻に直撃しそうになるのを避けながら、大口を開けて思いっきりかぶりつく。
美味しい!!!
カラッと揚がったザクザクほくほくのスパイシーなファラフェル、目にも鮮やかなみずみずしい葉物野菜(中には青紫蘇も入っていた。清涼感がいいアクセントになっている)、ダイス状のシャキシャキのキュウリにトマト、濃厚なバジルのペースト、クミンが香るクリーミーなフムス(ひよこ豆のペースト)、酸味が爽やかな紫キャベツのマリネ、油で揚げたカリッカリの薄切りの茄子、まろやかでコクがあるソース(白ゴマ?ヨーグルト?何でできているのか気になる)、もちもちの香ばしいピタパン…さまざまな味わいや食感が重なった、複雑で奥深い美味しさのハーモニー。
一口ごとに味が変わっていくので、かなりのボリュームにもかかわらず飽きがこない。
別添えの赤唐辛子のソースをかけて辛味を足してもまた美味しい。
別添えの赤唐辛子のソースをかけて辛味を足してもまた美味しい。
ランチタイムにはハーフサイズのファラフェルサンドにレンズ豆のスープがついて1000円のセットメニューがあるそうなので、今度は是非そちらも味わってみたい。
ファラフェルサンド単品ならテイクアウトも可能なので、過ごしやすい季節には青空の下でかぶりつくのもいいだろう。なんて健康的で美しいランチ!
パリで食べたファラフェルはジャンクフード的な色合いの濃いものだったけれど、このお店のファラフェルはあくまでも洗練されたマクロビ食だ(食べ方は少々ワイルドにならざるを得ないが)。
それにしても、肉も魚もない食事でここまでの満足感を味わえるなんて…!
野菜の森に顔を埋めたくなったらまた来よう。
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クンバ ドゥ ファラフェル (西アジア料理(その他) / 神泉駅、駒場東大前駅、池尻大橋駅)
夜総合点★★★★☆ 4.0
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